インプラント治療は、歯を失った際に噛む力や見た目を回復するための治療法です。
しかし、インプラントはすべての年齢層に適しているわけではありません。
今回は、「インプラント治療は何歳から可能か?」という疑問に答えながら、未成年の治療における注意点や、治療を受けられないケース、さらにインプラントの寿命を左右する要因についても詳しく解説します。
1. インプラント治療は何歳からできる?
インプラント治療は、顎や骨の成長が完全に終了した後に適応される治療法であり、通常、成人が対象となります。
一般的には20歳前後が目安ですが、顎の骨の成長や発達具合によって多少前後することがあります。
若年者の場合、顎の骨が成長途中のため、インプラントが固定される位置や安定性に問題が生じる可能性があります。
骨の成長は通常20歳前後で終了しますが、個々の成長スピードに差があるため、年齢だけで判断することは適切ではありません。したがって、インプラント治療を検討する際には、歯科医師が顎の骨の成長状況を正確に診断し、治療開始のタイミングを見極める必要があります。骨が十分に成長していない場合、インプラントの予後が不良となるリスクがあるため、慎重な判断が求められます。
成人であっても、全身的な健康状態や口腔内の状況が治療適応に影響するため、全体的な健康状態を考慮した診断が重要です。特に糖尿病や喫煙、骨粗鬆症など、治癒力や免疫力に影響を与える要因がある場合、インプラント治療の成功率に影響を及ぼすことが知られています。
2. 未成年のインプラント治療の注意点
未成年であっても、特別な事情がある場合はインプラント治療を検討することもあります。たとえば、外傷や先天的な理由で歯がない場合などです。しかし、未成年のインプラント治療には、以下のような注意点があります。
➀骨の成長の影響
成長途中の顎の骨にインプラントを埋め込むと、骨の成長によりインプラントの位置がずれてしまう可能性があります。これは、見た目や噛み合わせに影響を与えるだけでなく、インプラント自体の安定性にも影響します。
➁治療のやり直しの可能性
骨の成長が終わっていない段階での治療は、後にインプラントを再度やり直す必要が生じるリスクが高くなります。再治療は患者にとって体や費用面での負担も大きいため、慎重な判断が求められます。
➂代替治療の検討
顎の骨の成長が終わるまで、部分入れ歯やブリッジなど、インプラント以外の治療法で対応するケースもあります。
以上のことから、未成年のインプラント治療については、治療前に成長予測や今後のリスクについて歯科医師と十分に話し合うことが大切です。
3. インプラント治療を受けられないケース
インプラント治療が適していない場合もあります。以下に主なケースを挙げます。
➀骨量の不足
インプラント治療では、インプラントを顎の骨の中でしっかりと固定するため、十分な骨量が必要です。骨量が低い場合、インプラントがしっかりと固定されず、治療の成功率が低下する可能性があります。特に長期間歯を失っていた場合や、骨粗しょう症などの骨の病気がある場合には、骨量が不足していたり、骨質が低下していることがあります。このような場合には、事前に骨の増量手術(骨移植など)が必要になることがあります。
➁糖尿病や免疫力低下
糖尿病などの全身疾患を抱えている場合、治療の成功率が低下する可能性があります。特に糖尿病の患者さんは傷の治りが遅く、感染リスクが高いため、インプラント手術後の治癒が遅れることがあります。また、免疫力が低下している患者さんや、特定の薬を服用している場合も、インプラントの安定性や治癒に影響を与えることがあります。
➂喫煙習慣
喫煙は、インプラント治療の成功率に悪影響を及ぼすことが確認されています。タバコに含まれる有害物質が、歯ぐきや骨の血流を悪化させ、インプラントの安定性を損なう原因となります。
特に、治療後の傷の治癒が遅れ、インプラント周囲の組織が炎症を起こしやすくなります。
➃その他の要因
他にも、精神的な問題や自己管理能力に問題がある患者さん、口腔内の衛生状態が悪い患者さんは、インプラント治療の適応外となる場合があります。インプラントは長期間にわたり口腔内で維持されるため、定期的なケアと衛生管理が難しい場合は治療をお断りする場合があります。
4. インプラントの寿命を左右する要因
インプラントの寿命は、適切なケアとメインテナンスによって左右されます。インプラント自体は非常に耐久性が高いものの、周囲の組織や顎の骨、歯ぐきが健康でなければ、寿命が短くなるリスクがあります。ここでは、インプラントの寿命に影響を与える主な要因を説明します。
①定期的なメインテナンス
インプラントを長持ちさせるためには、定期的な歯科医院でのメインテナンスが不可欠です。インプラント周囲の歯ぐきや骨の状態をチェックし、セルフケアでは難しい部分を専用の器具でクリーニングを行い、問題が発生した場合には早期に対処することが大切です。
特にインプラント周囲の炎症(インプラント周囲炎)は、放置するとインプラントの周囲の骨が急速に失われインプラントの脱落につながります。他の歯と同じように定期的なメインテナンスを継続することが重要です。
②日常的な口腔ケア
インプラントは天然歯と同様に、日々のセルフケアが欠かせません。歯磨きやデンタルフロスを使用して、インプラント周囲の歯ぐきや歯を清潔に保つことが、長期的なインプラントの寿命に寄与します。また、メインテナンス時に歯科医院での専門的なクリーニングを受けることで、普段のケアでは取り除けない汚れや歯石を除去することができます。
③生活習慣
インプラントの寿命には、患者さんの生活習慣も大きな影響を与えます。喫煙は、インプラント周囲の組織にダメージを与えるとされています。また、食生活の乱れや過度の飲酒などは生活習慣病のリスクを高め、これらの疾患を持つ患者さんは、インプラント治療の成功率が低下するリスクが高くなります。健康的な食生活を維持することも、インプラントの寿命を延ばすことに影響を及ぼす可能性があります。
インプラント治療は、顎の骨が成長後であれば幅広い年齢層に対応できる治療法です。ただし、患者さん一人ひとりの口腔内状態や健康状態によって、治療が適しているかどうかが異なるため、歯科医師と相談し、適切な治療を選びましょう。
インプラントは正しいケアとメインテナンスを行うことで、長期的に機能を維持できます。新潟市でインプラント治療を検討されている方はぜひ新潟 大通り歯科までお問い合わせください。
監修:大通り歯科
院長 渡部 平馬
略歴
平成21年3月新潟大学歯学部 卒業
平成22年3月新潟大学医歯学総合病院臨床研修 修了
平成22年4月新潟県上越市きたしろ歯科診療所 勤務
平成26年3月新潟大学医歯学総合研究科博士課程 修了
平成26年3月新潟大学医歯学総合研究科博士課程 修了
平成27年大通り歯科 開院
平成28年T&Eインプラントコース 修了
平成29年Dr.弘岡 歯周病学コース 修了
平成30年YDO 歯内療法学コース 修了
令和2年PHIJ ベーシックコース 修了
令和3年筒井塾 咬合療法コース 修了
令和4年筒井塾 矯正ベーシックコース 修了
令和5年Myobrace system 導入
姿勢マスター講座 修了
令和6年DABSベーシックコース 修了
DABS小児矯正コース 修了
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