インプラント

インプラントとは?特徴や治療の流れを解説

歯を失った際に選択できる治療法として、インプラント、ブリッジ、入れ歯があります。
これらの選択肢はそれぞれの特徴があり、どれが最適かは患者さんの口腔内の状態やライフスタイルによって異なります。
この記事では、インプラントに焦点を当て、その基礎知識、治療の流れ、他の治療法との違い、そしてインプラントを選択することのメリットについて詳しく解説します。

1.インプラントの基礎知識を解説

 

インプラントとは

インプラント治療とは、失った歯の部分に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける方法です。
この人工歯根は主にチタン製で、非常に安定しており、骨としっかり結合します。
インプラントの基本構造には三つの主要な要素があり、それぞれが重要な役割を果たします。

インプラントの構造

➀インプラント体(フィクスチャー)
顎の骨に埋入されるチタン製の「スクリュー」です。この部分が歯根の代わりを果たします。
➁連結部(アバットメント)
インプラント体と人工の歯(上部構造)を接続する中間部分です。
➂上部構造(クラウン)
インプラントの上に取り付けられる人工の歯で、見た目や機能は天然歯に非常に近いです。

歯の機能や審美性を取り戻すために、これらの要素はそれぞれが重要な役割を果たし、インプラントは自然な笑顔と快適な生活を提供します。

2. インプラントの治療の流れ

インプラント治療は以下の流れに沿って行われます。

➀初診検査

当院では初めていらっしゃった患者さん全員にお口の資料どりをしています。簡単に現状を把握し、今後の治療の流れについての相談を行います。痛みがある場合は応急処置を行います

②初期治療

MTM(メディカルトリートメントモデル)に則り、むし歯と歯周病のそれぞれのリスク評価を行い、口腔内の環境を良い状態にするためブラッシングの確認と歯石とりを行います。

③治療相談

口腔内の状態を確認し、インプラントが適しているかを判断します。この段階で、歯科医師と患者さんの間で治療計画の相談を行います。

④治療計画の立案

CTスキャンなどの詳細な検査を行い、インプラントの埋入位置や角度を計画します。
この準備段階は非常に重要で、手術の成功率を高めリスクを最小限に抑えるために不可欠です。

⑤一次手術(インプラント体の埋入)

局所麻酔を行った上で、インプラント体(フィクスチャー)を顎の骨に埋め込む手術を行います。必要に応じて骨移植を行うこともあります。
手術後は、数ヶ月の間、骨とインプラントが結合するのを待ちます。この結合期間をしっかりと待つことがとても大切で、この期間に感染が生じたり、無理な力が加わるとインプラントが骨と結合せずに早期に脱落してしまう原因になります。
このため、当院では所定の術式にしたがってインプラント体を埋入した後、歯茎を縫合してインプラントが口腔内に露出しないようにする『2回法』という術式を採用しています。
この方法はインプラントが開発された当初から行われている方法で、40年以上インプラントが長持ちする実績のある方法です。

⑥二次手術(連結部の装着)

インプラント体と顎の骨がしっかりと結合した後、インプラントを口腔内に露出させるために、二次手術を行い、連結部(アバットメント)を装着します。
これも局所麻酔下で行いますが、短時間で済む処置ですので患者さんの侵襲はとても少ない処置です。

⑦上部構造(クラウン)の作製・装着

最後に、上部構造(クラウン)を作製するために型取りを行い、上部構造を作成します。必要に応じてプロビジョナルクラウンという仮歯を作製します。実際に使って確かめてもらうことで、最終的な上部構造の形などを決定し、最終的な上部構造装着を長期間快適に使用して頂けるようになります。
最終的な上部構造は患者さんの歯に合わせて形状や色を調整するため、自然な見た目と機能を取り戻すことができます。

3. インプラントを選択するメリット

インプラントには以下のような多くのメリットがあります。

➀自然な見た目と機能

インプラントは外観や咬合(かむ力)において、天然の歯とほぼ変わりません。患者さんは自然な笑顔と発話、そして快適な食生活を取り戻すことができます。

➁長期的な費用対効果

インプラントはきちんとメインテナンスを行えば数十年、場合によっては生涯使用することが可能です。長期的な視点では、ブリッジや入れ歯よりもコストパフォーマンスが高いと言えます。

➂口腔内の健康維持

隣の歯を削らずに済むため、健康な歯を保護し、歯並びや口腔内の健康を維持できます。また、顎の骨がインプラント体に刺激されることで骨の減少を防ぐことができ、長期的な口腔内の健康に寄与します。

➃快適さと安定感

インプラントは顎の骨にしっかり固定されるため、入れ歯のようにずれることがなく日常生活の快適さを提供します。取り外しの必要がないため、一日中快適に過ごせます。

➄心理的効果

インプラントによって失われた歯を取り戻すことで、自信を回復し、精神的な健康が向上します。特に笑顔に自信が持てることや、外食時にも取り外しなどをしなくて済むことにより、社会生活や人間関係にも良い影響を及ぼします。

4.インプラントに関するよくある質問

インプラント治療は、歯を失った方にとって非常に有効な選択肢ですが、実際に治療を受ける前には多くの疑問や不安があるかもしれません。
ここでは、インプラントに関するよくある疑問とその解決策について解説します。

Q1. インプラントは痛いの?

多くの患者さんが心配されるのが「痛み」です。
インプラント手術は局所麻酔を使用するため、手術中は痛みを感じることはほとんどありません。
術後に少しの腫れや痛みが生じる場合もありますが、これには鎮痛剤で対処できます。
当院のインプラント手術では思ったより痛みがなかったと言われる方がほとんどです。
痛みの感じ方には個人差がありますので、治療前に歯科医師に相談して、適切なアドバイスを受けることが重要です。

Q2.インプラントを入れても食事は普通にできるの?

インプラントは不便を感じることが少なく、ご自身の歯のように硬い食べ物も安心して食べることができます。
例えば入れ歯は口腔内で動きやすいため食事の際に不便を感じることが多く、食事をするたびに必ず取り外して洗う必要があるため、煩わしさを感じる方もいらっしゃいますが、
一方でインプラントは、顎に固定されていることから、天然歯に近い咬合力を持つため、安心して食事を楽しむことが出来ます。

Q3. インプラントはどのくらい持つの?

インプラントは適切なケアをすれば20年以上持つと言われています。
インプラントと比較検討されることの多いブリッジの耐用年数は約10年と言われていますので、インプラントは他の欠損治療に比べて長持ちといえるでしょう。
正しく歯ブラシや歯間ブラシを使用してセルフケアをすることと、クリニックでの定期的なメインテナンスでプロフェッショナルケアを受けることで、インプラントの寿命を延ばすことができます。

インプラントは、見た目や機能において天然の歯に近く非常に優れた治療法です。
インプラントの選択によって得られる長期的なメリットは大きく、それが多くの患者さんにとって魅力的な選択肢となります。

治療の流れは初診から治療完了まで比較的長い時間と手間がかかりますが、その分、得られる満足感と快適さは非常に高いです。
入れ歯やブリッジと比較して、インプラントは隣の歯や口腔内の健康に与える影響が少なく、全体の歯並びや口腔内の健康を維持しやすいです。

信頼できる歯科医師とカウンセリングを通じて自分に最適な治療法を見つけ、健康で自信に満ちた口腔内を手に入れましょう!

監修:大通り歯科 院長 渡部 平馬
略歴:
平成21年3月新潟大学歯学部 卒業
平成22年3月新潟大学医歯学総合病院臨床研修 修了
平成22年4月新潟県上越市きたしろ歯科診療所 勤務
平成26年3月新潟大学医歯学総合研究科博士課程 修了
平成26年3月新潟大学医歯学総合研究科博士課程 修了
平成27年大通り歯科 開院
平成28年T&Eインプラントコース 修了
平成29年Dr.弘岡 歯周病学コース 修了
平成30年YDO 歯内療法学コース 修了
令和2年PHIJ ベーシックコース 修了
令和3年筒井塾 咬合療法コース 修了
令和4年筒井塾 矯正ベーシックコース 修了
令和5年Myobrace system 導入
    姿勢マスター講座 修了
令和6年DABSベーシックコース 修了
    DABS小児矯正コース 修了

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