インプラント治療は、歯を失った部位にインプラント体といわれる金属製のネジ(人工歯根)を埋め込み、その上に人工の歯を装着します。
自分の歯のようにしっかりと噛むことができるため、非常に効果的な治療方法です。
しかし、その効果を長期間にわたって維持するためには、適切な知識と正しいケアをすることが重要です。
今回は、インプラントの寿命、交換の必要性、磨耗する原因、そして長持ちさせるための正しいケア方法について詳しく解説します。
1. インプラントの寿命はどのくらい?
理論上、インプラントの寿命はなく、一生ものともいわれています。
当院で使用しているような歴史あるメーカーのインプラントは、適切に管理を行うことで9割以上の場合で10年以上の期間、安定して機能することが報告されています。
しかし実際には、患者さんの生活習慣や口腔ケアの質、定期検診の有無などの差によって、インプラントの寿命は大きく異なってきます。
また、材質の選定などでもインプラントの寿命が変わる可能性があります。
主にインプラントの寿命に影響を与える要素を以下に解説します。
➀口腔ケア
適切な口腔ケアはインプラントの寿命に直接影響します。
毎日行う歯ブラシ、フロスや歯間ブラシを用いたセルフケア、定期的に行う歯科衛生士によるプロフェッショナルケア口腔洗浄液の使用などが必要です。
➁定期検診
最低でも3ヶ月半年に一度の定期検診を受診しましょう。
口腔ケアの状態や噛み合わせなどインプラントの状態を定期的にチェック把握し、潜在的な問題が顕在化する前に(発症する前に)を早期に発見・解決することが重要です。
➂生活習慣
喫煙、過度のアルコール摂取などの生活習慣の乱れは、不摂生はインプラントの寿命に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、睡眠時の歯ぎしりやくいしばりもインプラントの寿命に大きく関係するため、過度なストレスを抱えないことや、日中に顎の筋肉のストレッチやマッサージなどのケアをすることもストレス管理も有効重要です。
いずれにしても、インプラント特有のものではなく、ご自身の歯の歯周病予防と同じようなケアをすることがとても大切です。インプラントの施術を行う前に、ケアの重要性と方法を身につけることをオススメします。
2. インプラントのトラブルを紹介
インプラント治療は永久的なものではなく、何らかの要因で交換が必要になる場合があります。
ここでは、インプラントの代表的なトラブルについて解説します。
①インプラントの人工歯の磨耗
インプラント体自体はチタンなどの耐久性のある素材で作られているため非常に頑丈ですが、インプラント体の上に装着する人工の歯やアバットメント(インプラントと人工の歯を繋ぐ部品)は日常的な咀嚼や歯磨きによってダメージを受けることがあります。
特に硬い食べ物や歯ぎしりなどが原因で、人工の歯が削れたり、表面が摩耗したりすることによって交換が必要となる場合があります。
インプラントの定期健診を怠ると、この磨耗が気がつかないうちに進行し、さらに深刻な問題に繋がる可能性があります。
②インプラント周囲炎
インプラントの周囲に炎症が起こる「インプラント周囲炎」は、放置すると深刻な感染症に進行し、インプラント体を支える周りの骨が溶け、骨にしっかり固定されなくなることがあります。
歯茎が腫れたり、痛みが出たりする場合は早急に治療を行う必要があります。
また重症化するとインプラントの再手術が必要だったり、最悪の場合インプラントを失ってしてしまうケースもあります。
➂インプラントの破損
非常に稀ですが、インプラント体自体が物理的な衝撃などで破損することもあります。
貝の中に入っていた砂を噛んでしまったり、交通事故やスポーツによる外傷が原因で、インプラントが割れてしまった場合は再手術が必要となることがあります。
3. インプラントのトラブルの原因
ここまで、インプラントの代表的なトラブルを紹介しました。
ここではインプラントのトラブルの原因について解説します。
➀歯ぎしりや過剰な咬合力
夜間の歯ぎしりや食事中の強い咬合力がインプラントに過大な負荷をかけることがあります。
これが続くと、インプラントや被せ物の磨耗が進行し、治療が必要となる場合があります。
またインプラント周囲炎の原因はプラークですが、過度な力が加わることによりその進行が加速することが報告されています。
歯ぎしりやくいしばりの癖がある方は、就寝時に装着するナイトガードとよばれるマウスピースを使用することをおすすめします。
➁人工歯が適合していない
インプラント体の上に装着される人工の歯(クラウンやブリッジ)がぴったりと適合していない場合、局所的に過負荷がかかり、磨耗が進んだり、破折してしまうことがあります。
そのため人工歯を固定するネジのゆるみやずれがないか定期的に検査する必要があります。
➂経年劣化
インプラントに装着する人工の歯も自分の歯と同じように、長期間使用することで耐久性は低下していきます。
定期健診でお口全体の嚙み合わせや汚れの付着を確認し、インプラントのトラブルを未然に防ぎましょう。
4. インプラントを長持ちさせるためのケア方法
最後に、インプラントを長持ちさせるためのケア方法について解説します。
➀適切なブラッシング
インプラント周囲の歯茎や人工の歯も、天然の歯と同じように丁寧にブラッシングしましょう。
柔らかい歯ブラシと歯間ブラシを使用し、過度な力をかけずにブラッシングすることが重要です。
特に、インプラントの接合部やその周囲は歯垢が溜まりやすいので注意が必要です。
ただし、研磨剤が強い歯磨き粉は歯に負担がかかってしまうため、避けるようにしましょう。
➁食生活・喫煙習慣の見直し
糖分の多い食品や飲料、酸性の強い食物を控え、バランスの取れた食事を心がけることが、口腔内の健康維持に繋がります。
また、喫煙はインプラントの寿命を縮める大きな要因の一つです。
禁煙することにより、インプラント周囲の歯周組織の健康が保たれ、長期的な耐久性を維持することができます。
➂歯科医院での定期的なメインテナンス
少なくとも3か月に一度は、歯科医院で定期検診を受けましょう。
歯科医師や歯科衛生士によるクリーニングで、日常のケアだけでは除去できない歯垢や歯石を取り除くことができます。
また、定期的にメインテナンスを行うことで、インプラント周囲炎やその他の問題は早期発見、早期治療をすることができ、トラブルの悪化を防ぐことができます。
➃ストレス管理
過度なストレスは歯ぎしりや食いしばりを引き起こし、インプラントに過剰な負荷をかける原因となります。
ストレスを適切に管理し、リラックスした生活を心がけることも、インプラントを長持ちさせるポイントです。
インプラントは失った歯を補う優れた治療法ですが、インプラントの寿命は様々な要因によって異なります。
その効果を長期間にわたって維持するためには正しいケアと定期検診が必要不可欠です。
日常生活での適切な対応により、インプラントの寿命を長くすることができます。
新潟市でインプラント治療に関する疑問がある方、インプラント治療を検討中の方はぜひ新潟市の歯医者 大通り歯科 へご相談ください。
監修:大通り歯科
院長 渡部 平馬
略歴
平成21年3月新潟大学歯学部 卒業
平成22年3月新潟大学医歯学総合病院臨床研修 修了
平成22年4月新潟県上越市きたしろ歯科診療所 勤務
平成26年3月新潟大学医歯学総合研究科博士課程 修了
平成26年3月新潟大学医歯学総合研究科博士課程 修了
平成27年大通り歯科 開院
平成28年T&Eインプラントコース 修了
平成29年Dr.弘岡 歯周病学コース 修了
平成30年YDO 歯内療法学コース 修了
令和2年PHIJ ベーシックコース 修了
令和3年筒井塾 咬合療法コース 修了
令和4年筒井塾 矯正ベーシックコース 修了
令和5年Myobrace system 導入
姿勢マスター講座 修了
令和6年DABSベーシックコース 修了
DABS小児矯正コース 修了
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